福祥丸の想い~福祥丸が伝えたい気持ち~
とびきり新鮮で美味しいサザエやアワビを食べてみたいけど、どこで買えばいいのか分からない。
活けサザエ・活けアワビを売っているお店はたくさんあるけど、値段は色々だし・・・
活けサザエ・活けアワビって書いてあれば、味はみんな一緒なんでしょ?
だったら出来るだけ安いお店で買うのがいいのでは?
でも、自分が想像してた物と違うものが送られてきてガッカリしたくない・・・
ご購入前のお問い合わせでよくあるご質問です。
現在では当店を何度もご利用頂いているお客様からも、ご購入前はそういう部分が気になっていた。
というお声をよく頂きました。
インターネット上でサザエやアワビを販売するサイトで必ず目にするのが“活けサザエ”“活けアワビ”というキーワード。
実はこの“活け”という言葉に多くの人が誤解をしています!
活け”であれば全て新鮮か?答えはノーです・・・
残念ながら、本当に新鮮な“活け”サザエ・アワビを販売しているお店は、全体のほんの数パーセントでしょう。
なぜなら、通常の水産物の流通形態を見れば一目了然です。
漁師→漁協→1~2日→産地卸売市場→2~3日→消費地中央卸売市場→3~4日→小売スーパー等
素潜り漁師が海から水揚げして、最終的に消費地に到着するまで、最短でも4日はかかるという事です。
それでも、かつてイケスがある料理屋で働いていた私としては、4日というのはまだ良い方だと思います。
現在流通している“活け”サザエ・アワビには、素性を知れば絶対に食べたくない「粗悪“活け”サザエ・アワビ」が大量に流通しています。
「粗悪“活け”サザエ・アワビ」とは漁師が水揚げしてから何週間、下手をすると何カ月も陸上のイケスで飼われ続けたサザエ・アワビです。
通常卸売市場では、仲卸業者(仲買人)がセリによってサザエ・アワビを買い付けます。
そして料理屋は仲卸業者からアワビ・サザエを買い付けます。
仲卸業者は常にサザエ・アワビの安定供給を求められるため、必ず在庫を抱えます。
優良な仲卸業者は仕入れに対して安売りになっても、品物が新鮮なうちに在庫をさばいてしまいます。
しかし、一部の悪質な業者は、売れると踏んでサザエ・アワビの在庫を抱えたが、予想に反して売れなかった場合は、陸上のイケスで延々と飼う事になります。
飼われると言っても餌が与えられる事はありません。餌になる海藻が確保できないからです。
餌があったとしても、陸上のイケスでは排泄物によりアンモニアが発生して水質が非常に悪くなるため、餌が与えられる事は決してありません。
料理屋に勤めている時、何度か仲卸業者の魚屋が「安くしとくからサザエ使ってくれんか?」と、持ってきていました。
私 :「コレ産地はどこでいつのサザエ?」と尋ねても、
魚屋:「2週間くらい前のかな・・産地は分からん・・」
そんなサザエを店に仕入れてさらに、料理屋のイケスで刺身・壺焼きの注文が入るまで何週間も飼われ続けます。
サザエ・アワビは生き物です。
餌を食べないとどんどん身は痩せ、旨みも香りも損なわれ、本来の美味しさが完全に失われてしまいます。
以下の画像はいずれも、あるA水産会社とB地方市場所有のイケスです。
異様に泡立っているイケス。
でもまだマシな方。
もはや犯罪レベルの汚水イケス。
まるでドブ川のようです。
食品を扱っているという自覚すらないのでしょう・・・
そして、カゴの中に飼われていたのは「アワビ」でした・・・
この様ないい加減な衛生管理を目の当たりにすると、生産者としても一消費者としても、憤りを通りこして、悲しく思います。
私たち漁師は文字通り命を削って、必死の思いでアワビやサザエを漁獲し、少しでも良い状態で消費者に届けようと、日々努力してます。
出荷先の市場でこんな風に扱われているとはとても残念なことです。
この様なイケスで飼われている魚介が高値で買われるはずもなく。
魚価の低迷に苦しむ漁師の努力をすべて台無しにしているのです。
消費者としても、この様な品物が敷居の高い料理屋や高級旅館などに当たり前のように
流通している事実をとても危険なことに思います。
福祥丸のお店 「食に対する安全への取り組み」
近年、産地偽装、不正表示等によって、食の安全は完全に崩壊したと言っても過言ではないと思います。
たとえば、私たち個人漁師が扱う天然物の活け魚と養殖物の違いをご存じでしょうか。
養殖魚全般に言えることですが、生け簀のような狭い場所で大量の魚を飼育するため、1匹でも病気の魚がでると狭い生け簀の中で一気に病気が蔓延して大損害を被ります。
なので病気予防のために寄生虫の駆除剤、その他のワクチンなどを餌にまぜて「薬漬け」にされるのです。
たとえ料理屋のイケスで泳いでいても、新鮮な「活魚」どころか育った養殖所散々人為的に抗生物質や薬剤を撒かれ、「天然物の活魚」とは程遠い不自然さ・非新鮮さです。
残念なことに何割かの活魚料理店の水槽で泳いている魚は「偽活魚」なのです。
当店が扱う、天然干しわかめについても例外ではありません。
「わかめ 偽装」等で検索するとそういう事件がいくらでも出てきます。
わかめの場合ほぼ毎年、有名産地の大手企業やメーカーによる産地偽装事件が起こっています。
中国や韓国産のわかめを「天然」「国産」と偽って加工・販売し、摘発される事件が後を絶ちません。
有名産地による産地偽装事件は、今や毎年の風物詩になっているほどです。
消費者はもちろんのこと、この様な事件でいつも被害を受けるのは、日々良い物を生産するべく努力を惜しまない真面目な「漁師」です。
有名産地で偽装事件などが起きると、同じ地域で真面目に生産されている生産者(漁師)はもとより、私を含め、遠く離れた別の地域のわかめ漁師にもその風評被害が及びます。
こう言う事件が起きるたびに、「福祥のわかめは、本当に天然わかめなの?本当に国産わかめなの?」
この様な問い合わせが多くなるからです。
たとえば『福祥の美味しいわかめ』はJANコードを取得しています。
「JANコード」とはお客様の不安解消、食品に由来する危害要因(残留農薬等)や食品偽装表示等、「食」に対する不安が高まる中、「食」の安全と安心確保に向け、商品の生産・加工・流通等いずれの段階においても、いつ、どこで、どのように作られたかをお客様自身によって確認できるシステムです。
「JANコード」を取得することによって、福祥丸のお店は「トレーサビリティ」に取り組んでいます。
私たちが、普段口にする食品がどのように生産、加工、流通されてきたか、 その「経路」と「履歴」の情報確保などの品質マネージメントシステムのことを「トレーサビリティ」といいます。
普段、何気なく食べているあの食品の衛生管理はどうなってるの?
原料は何を使って、どうやって作られているの?
そういった「食の安全」に対する疑問を解決してくれるのが「トレーサビリティ」なのです。
福祥丸のお店が選ばれる理由
鳥取県の沿岸は赤色の矢印で示す黒潮由来の対馬暖流と、 空色の渦で示す水温・塩分がほぼ一定な山陰沖合の“固有冷水塊”の影響により、沿岸域表層付近の海水温は摂氏約10℃から28℃の範囲で季節により著しく変化し、プランクトンや小魚などの餌が非常に豊富なため、多種多様な魚介類の生息を周年可能にしている、非常に恵まれた海域です。
(境港:紅ズワイガニの水揚げ)
(境港:黒マグロの水揚げ)
新鮮な赤ムツ・底物
瀬つきの鯛や鯵の水揚げも多い
また、鳥取県内では白兎海水浴場(白兎海岸)、皆生温泉海水浴場、浦富海水浴場、石脇海水浴場の4つの海水浴場が日本の水浴場88選に選ばれており、毎年、海水浴の季節になると行われる水質調査で環境省の定める海水浴場水質判定基準における最高ランク「水質A~AA以上」と全国に誇る美しい海です。
鳥取の海は透明度がすごい!
(浦富海岸)
また鳥取海岸は2010年には
世界ジオパークネットワークへの
加盟が認定されて日本はもとより、
世界に誇る美しい海として
認められました!
「福祥のアワビ・サザエが選ばれる理由」編
福祥丸が所属する中山漁協は鳥取県西部の大山町という町にあります。
中山漁協が管轄する港は塩津港・御崎港の2つです。
福祥丸が船を係留している塩津港の沿岸一帯を塩津灘と言います。
塩津灘には「きのえ川」という大山から流れ込む清流があります。
『きのえ川』とは、西日本最高峰の大山国立公園内に位置し、厳冬に冠した深雪は春に雪解け水になり、やがて麓に広がるブナなどの広葉樹の原生林を経て日本屈指の清流に生まれ変わります。
そのサイクルは100年もの時間を有するとも言われています。
その源流は大手飲料水メーカーのサントリーも惚れ込む最高品質のミネラルウォーター。
ブナの原生林に育まれた、ミネラル分や栄養分が豊富に含まれる美しい清流が塩津灘に流れ込み、海藻や魚介類の生育を一層豊かにします。
(国立公園 大山)
(国立公園 大山の冠雪)
(国立公園 大山 ブナの原生林)
(清流の”ぬし”オオサンショウウオの生息地 きのえ川の源流域)
河口では、春にはサクラマスが溯上、初夏にはホタルが乱舞し、秋には鮭が帰る。
また、きのえ川上流域は全国的にも美しい険谷として知られ、真夏でも水温が11℃しかないといいます。
真に美しい清流にしか住まない、岩魚、特別天然記念物オオサンショウウオの生息地でもあります。
塩津海岸 きのえ川河口
全国的にも珍しい大きな転石ばかりの塩津海岸。
沖の方まで転石が続く。
海中の森(撮影:中谷英明氏)
この様な素晴らしい清流きのえ川を有する塩津灘の海底には大山の火山岩からなる広大な天然礁があり、砂地が無く海岸線は全て転石海岸(ごろた石)です。
砂浜海岸が7割を占める鳥取県において、塩津灘のような岩礁海岸はアワビ・サザエの生育にもっとも適した漁場と言えます。
沿岸から3~4キロ沖合で、やっと水深10メーターに達するほど遠浅の海岸であり、岩礁域の比較的浅い海にしか生えない、アオサ・わかめ・エゴノリ・天草・アラメ等の海藻が非常に豊富に生育する、県内でも有数の恵まれた海岸です。
これらの海藻はアワビやサザエの餌にもっとも適した海藻であり、転石海岸(ごろた石)による、石の隙間(隠れ家)が無数にあるためサザエ・アワビにとっても、非常に生活しやすい、最高の生活環境です。
そして塩津灘のサザエ・アワビがひと味違う理由は、日本海側でもごく限られた場所にしか生育しない、幻の高級海藻エゴノリ(イギス)の繁殖地でもあり、数年に一度しか生えないとされるエゴノリが、毎年必ず生える素晴らしい海だからです。
高級海藻エゴノリ
乾燥エゴノリ
(エゴノリとは九州地方では”おきゅうと” 東北地方では”エゴ餅”などとよばれ、冠婚葬祭の席には欠かせない逸品。エゴノリを煮溶かして、寒天状に固めた高級食材)
昔から ”エゴノリが生えた年はサザエが大量に沸く” と語り継がれていて、実際にエゴノリが豊作の翌年は、いつも品質の良いサザエが大量に漁獲されます。
この事から地元では、エゴノリこそがアワビやサザエの繁殖にとって最も重要な海藻と考えられています。
そして何より、エゴノリを食べて育ったサザエやアワビはその身自体に、エゴノリ特有の甘い潮の香りと旨みを蓄え、独特の苦みがほとんどない、美味しいサザエに育ちます。
過去には、県内他産地のサザエを塩津産と称して偽装販売していたスーパーが問題になった事があります。
塩津産と表示すれば、高値で販売できるためです。
この様に、塩津産のサザエ・アワビは地元のみならず、京阪神の市場でも高い評価を得て常に高値で取引されています。
塩津灘のアワビとサザエの人気の秘密は美味しさもさる事ながらこの新鮮さ!
「福祥丸のお店を選んで良かった!」うれしいメッセージを沢山いただいております!
・試しに買ってみたけど、ほんとにサザエやアワビが活きていて、超新鮮で感激した!・・・
・とても美味しかったです!今まで、よそで買っていたサザエと味や香りが全然違う・・・
・産地や鮮度でこれほど味が変わるとは・・・など、御褒めの言葉をたくさん頂戴しています!
最後に素潜り漁師 福祥丸からのご提案
「活け」と表示があるのに活けではない。
「国産」と表示があるのに国産ではない。
日本の食に対する法令には、抜け道や、欠陥がいくらでもあります。
日本中に偽装食品や危険な食品があふれているし、無くなる事は無いでしょう。
一体何を信じればいいのか。何処から買えばいいのか。
一消費者として思うのと同時に、生産者として言わせてもらえるなら、「野菜は農家から、魚は漁師から」という事です。
生産者と消費者がインターネットで直接結ばれる時代です。難しい事ではないと思います。
魚介類でも、農作物でも、「こだわり」を持って良い物を生産されている方がたくさん居られます。
本当の意味での「安全」な食材を、自分で吟味し、納得して消費する。
そいう世の中のニーズに少しでもお応えできるようなお店であり続けたい。
それが福祥丸のお店の責務であり、願いです。