鳥取県西伯郡大山町の素潜り漁師「福祥丸」のWebショップです。
日本海の恩恵を一身に受ける塩津灘で獲れたあわびやさざえなど、
超新鮮な海産物を浜値でご家庭へお届けします!

 

福祥丸の紹介~「今、そして未来へ」編~

ここまで長らくのお付き合い、心より感謝いたします。

 

本編にて漁師「福島 祥人」の紹介は最後となります。

 

本編では漁師として、そして海とともに生きる一人の人間として「福島 祥人」が心に抱いている思いを少しだけ、書いていきたいと思っております。

漁師としての仕事について。

それは福利厚生無し、命の保障無し、一寸先は闇…。

そんな過酷な一面を持っていると思います。

 

私が漁師になってからのこの10年で顔見知りの漁師が何人も殉職されました。

特に素潜り漁師は医療保険に加入することすら困難で、審査すらしてもらうことができないことがほとんどです。

 

素潜り漁師にとって常に付きまとう危険…。

その際たるものが「潜水病」です。

 

「潜水病」とは血中に窒素が発生してしまう病気で、主に酸素ボンベを使用した潜水時に起こる事故だと一般的には思われています。しかし、実は違うんです。

 

私のように年単位で、何時間も何百回・何千回の潜水を立て続けに繰り返すことによっても起こる病気なのです。

私自身も慢性的な関節の痛み・重い頭痛・耳鳴りを発症しています。

 

病院で様々な検査を受けても原因すら解明することができません。耳鳴りも日常的に起こっています。

私も家族を持つ身ですので、できるだけ身体に負担の無いよう気を使うようにはしているのですが…。

 

しかし、それでも、そこまでしても私が胸を張って命を掛ける価値があると思っている仕事。

それが漁師です。

 

漁師としての「環境問題への取り組み」

現在、世界規模にて自然破壊・海洋汚染の問題が深刻化してきております。

これらの問題は、わが鳥取県においても例外ではございません。

海に生きる者として誰よりも率先して、この問題に取り組まなければと思います。

 

「私が所属する鳥取県漁協としての資源保護への取り組み」

・このほか素潜り漁師組合独自のアワビ・サザエ・わかめ・もずく等の漁期(禁漁期間)を厳しく設定、大きさの漁獲制限を設けて資源管理に取り組んでいます。

・毎月の水揚げ金額から定額%をサザエ・アワビの種苗購入に充て、毎年2回に分けて放流事業を行っています。

・さらに藻場造成事業に参加して、海の中の海藻を漁師自らの手で人工的に増やし、魚・貝類の資源回復を図るとともに海藻の光合成によるCO2の削減を促し、素潜り漁師ならではの海の中からの環境保全に取り組んでいます。

 

「福祥丸個人としての取り組み」

私自信、漁師という自然相手の仕事に付くまでは、「環境への取り組み」なんて正直あまり意識したことはありませんでした。

波乗りに行った先で何度かビーチ清掃イベントに参加してくらいでしょうか。それもただなんとなくです・・

 

でも地元の京都から漁師に成るべく鳥取にIターンで移住してはや10年が経ちましたが、この10年のスパンの中でも直接目で見て、肌で感じる自然環境の悪化には相当な危機感を覚えます。

 

漁師を始めた頃、夏場になると決まって生えていた海草が今は生えていないのです。

以前は毎年生えていたエゴノリや石もずく等のサザエ・アワビの生育にとって重要な海藻もその姿を徐々に消そうとしております。

 

ある年配の漁師が、駆け出しの頃の私にこう言いました。

 

「昔はもっと海草が生えとった…。色とりどりの海草が1年中生えとった…。」

 

しかし私が鳥取県に来たこの10年の間だけでも目に見えるほどの海草の減少・海の変化が起こっています。

これらの現象の根底には、温暖化による水温上昇などによる水質の悪化などが影響しているのだと考えられています。

 

(赤潮による海洋汚染)

(ASR放射能海洋汚染マップ)

ここ数年、日本海の海水温度が異常な数字を示します。

表層の海水温は30℃近くになり素潜りをしていると暑さで脱水症状を起こし、意識が遠のくことがあります。

 

夢中で潜っていて水分補給を怠ると、そのまま帰ってこれなくなるのです。

毎年この様な事故で殉職される方が後を絶ちません。

私たち素潜り漁師にとって海水温の上昇は、直接命に係わる問題でもあるのです。

 

 

地球に慣性の力が働く以上、状況がさらに悪くなる事は誰もが想像できる事だと思います。

 

そして、人為的に起こるべくして起こってしまった福島第一原発事故・・・

 

地球の自浄能力ももはや限界に達していて「今さら何をしても無駄なんじゃないか、手遅れなんじゃないか」

と絶望すら感じます。

 

でもそう思うのと同時に、「なにか」をせずには居られません。

 

海に生きることを心に決めた私たちだからこそできる「なにか」がきっとあるはずです。

 

まずは小さなことでも私たちができることから初めて、いつかはそれが大きな変化となることを私は信じております。

 

それが海で生き、遊び、そして海から多くの恩恵を受けてきた、私たち漁師に課せられた義務であり権利だと考えております。

 

小さなことでもやれることをやろう。

そんな思いで参加している集落内に流れる「甲川(きのえがわ)」河口の清掃と草刈りです。

これは年に2回恒例で行っています。

 

(きのえ川の清掃・草刈り)

(塩津港の海岸清掃)

また漁師として塩津港の海岸清掃も行っております。

塩津港の組合員の春・夏・秋の恒例行事として年に3回行っております。

 

そして海と同じくらい大切な川や森…。

福祥丸の商品には、生産者負担で「ecoたねまき」シールを貼付しています。

 

(漁業者による植樹活動)

「ecoたねまき」を通じて植樹・育樹活動を積極的に行い“海を育てる森”を守る運動を実施しています。

森を育てる事によりCO2の削減が期待できますし、豊かな森に降った雨は落ち葉の肥沃な土壌を経てミネラル分や栄養塩をたっぷり含んだ河川となり、海に注ぐことにより沿岸の海藻や植物プランクトン、それらを餌にする魚や貝類を育みます。これが「植林を通じて豊かな海を未来に残そう」という取り組みです。

 

鳥取県内では白兎海水浴場(白兎海岸)、皆生温泉海水浴場、浦富海水浴場、石脇海水浴場の4つの海水浴場が日本の水浴場88選に選ばれています。

鳥取県の海は毎年水質調査A~AAランク以上を誇るとても美しい海です。

 

また鳥取海岸は2010年には世界ジオパークネットワークへの加盟が認定されて日本はもとより世界に誇る美しい海として認められました。

 

このすばらしい鳥取県の海の魅力、そして環境保護・資源保護の大切さをさまざまな交流を通じて広くアピールすることが大切だと考えています。

 

第12回日韓水産セミナー(江原道)

鳥取県の漁師を代表して資源保護・6次産業への取り組みについてプレゼンテーション

中海テレビ「地域経済ビジネスNow」

「鳥取の海はこんなに綺麗だよ。」

 

自分の子どもたちから孫まで、自慢することのできる海を守り、残していく。

 

それがこれからの未来にあるべき漁業の姿であり、海に生きることを決めた私たちの責務なのではないかと思います。

 

福祥丸のお店 福島 祥人

1章 :京都」編

2章 :見習い漁師」編

3章 :サーファー漁師から本物の漁師へ」編

4章 :「今、そして未来へ」編

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